登場作品
『小倉百人一首』
54 わすれじの 行末までは かたければ 今日をかぎりの 命ともがな
<「あなたを決して忘れない」あの人はそう言ってくれる。でもその言葉、この先いつまでも変わらないと思うことは難しい。だから、幸せに溺れている今日限りで、息絶えてしまいたい>
新古今和歌集巻第13恋歌3・1149より。のちに夫となる藤原道隆が通いはじめた頃に詠んだ歌という。移ろいやすい人の心は当てにできない、ならば、幸せの絶頂で死んでしまいたいという一途な思いにあふれた歌。
『枕草子』
第100段 淑景舎、春宮にまゐりたまふほどの事など
東宮居貞親王に入内している原子が姉の中宮定子のもとを訪れた機会に、夫の道隆ともども、娘たちのもとにやってくる。原子が東宮から届いた手紙の返事に手間取っていると、付き添って書かせようとした。