藤原公任 ふじわらのきんとう
- 四条大納言 しじょうのだいなごん
- 大納言公任 だいなごんきんとう
- 公任の宰相殿 きんとうのさいしょうどの
966~1041。平安時代中期の歌人・歌学者。息子に定頼がいる。和歌・漢詩・管弦のすべてに優れ、博識多才を称えられた。一条天皇期の四納言のひとりとされる。
登場作品
『宇治拾遺物語』
巻1-10 10話 秦兼久、通俊卿の許に向かひて、悪口の事
巻12-21 157話 或上達部、中将之時、召人に逢ふ事
ふたりの罪人(召人)と出会ったが、罪人Aは主人殺しで、罪人Bは大した罪状ではなかった。そこで、まずはBの男を許してやり、後日、Aの法師も許してやった。しかし、恨みを抱いたAにさらわれて殺されそうになった。そこにBが現れ、危機一髪で助けてくれた。この話を、どうやら藤原公任の体験談らしいが本当だろうか、としている。
『小倉百人一首』
55 滝の音は たえて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞えけれ
<その昔流れていたという滝の水音。その音が途絶えて聞こえなくなってから随分経ってしまったけれど、滝の名高い評判は、今も絶えずに聞こえているよ>
大覚寺(京都府)で滝に寄せて詠んだ歌。大覚寺はもともと嵯峨天皇の離宮で、ここにあった滝が有名だった。公任の時代は嵯峨帝の時代より100年以上下っていて、滝の水はもはや枯れていたという。
関連する人物 嵯峨天皇
『十訓抄』
第1 人に恵を施すべき事 1-02
第1 人に恵を施すべき事 1-10
白居易の詩「楚思渺茫雲水冷 商声清脆管弦秋」は、「詠誦は聞きづらい」と難を言う人もいるが、秀句だからということで『和漢朗詠集』の中に選び入れた。
関連する人物 藤原頼宗
第1 人に恵を施すべき事 1-21
一条天皇が優れた帝であったためか、数多の人材を得た。そのうちの四納言と呼ばれた人々として紹介される。
関連する人物 一条天皇 清少納言 紫式部 赤染衛門 和泉式部 小式部内侍 伊勢大輔 高階貴子 相模 出羽弁 小弁 馬内侍 江侍従 新宰相 兵衛内侍 上東門院中将 藤原斉信 藤原行成 源俊賢 良源 寛朝 円融天皇 小大君 上東門院 大江匡衡 藤原道長 藤原有国 大江匡房 藤原頼通 源師房 藤原清隆 丹波雅忠 允恭天皇
第1 人に恵を施すべき事 1-31
清暑堂で御神楽を行ったときに拍子を取ることになっていたが、本番の寸前で斉信に役目を譲るしぐさをした。実は「斉信は音楽の心得がないから譲っても断るだろう」と思い、戯れで譲るふりをしたものだったが、斉信は断ることはなく、しかも見事に拍子を取ったので、公任はがっかりするやら驚くやらだった。あとで斉信に「いつからこんな準備をしていたのか」と尋ねると、「公務のことだから形ばかり準備をしていたのだ」という答えが返ってきたのだった。
関連する人物 藤原斉信