登場作品
『小倉百人一首』
59 やすらはで 寝ましものを 小夜更けて かたぶくまでの 月を見しかな
<来ないってわかっていたなら、遠慮なく寝てしまったのに。あなたの訪れを待っていたら、夜が更けてしまった。月が西の山に傾いていくのを、私はずっと眺めていたの>
後拾遺和歌集巻第12恋2・680より。作者の姉妹のひとりのもとに、藤原道隆が通ってきていた。ある晩、「来る」と言っていた道隆が現れなかったので、待ちぼうけをくらった姉妹の代わりに詠んだ歌という。「やすらふ」は「ためらう」という意味の語。