藤原原子 ふじわらのげんし
- 淑景舎の人 しげいさのひと
- 中姫君 なかひめぎみ
?~1002。平安時代中期の女性。一条天皇の東宮・居貞親王(のちの三条天皇)の妃。藤原道隆と高階貴子の二女。定子の妹。淑景舎(桐壺)に住んだという。
登場作品
『枕草子』
第86段 宮の五節出ださせたまふに
中宮定子のもとから五節の舞姫を出すときに、介添えの女房12人のうち10人まで、定子に仕える女房から出した。残り2人のうち1人を、自らに仕える女房から出した。
第89段 無名といふ琵琶
兄の隆円とともに定子のもとを訪れたときに、亡き父道隆からもらった風情のある笙の笛が自分の手元にある、と話す。隆円から、自分が持っている琴とその笙を交換しようと持ちかけられたが、「いなかへじ(いやよ、取り換えません)」という笛の名にちなみ、兄の言葉をスルーして「取り換えない」という意思を示した。
第100段 淑景舎、春宮にまゐりたまふほどの事など
東宮居貞親王に入内して以来初めて、姉の中宮定子のもとを訪れる。父・道隆、母・貴子や、伊周をはじめとした兄弟も一堂に会して華やかなありさまだった。こっそり観察していた清少納言によって、初々しくかわいらしい原子の様子が描写される。
東宮から手紙が届いた折には、恥じらってなかなか返事が書けず、両親をやきもきさせた。また、東宮からお召しがあったときには、一条天皇からお召しがあった姉と、どちらが先に向かうかで譲り合いをする。