藤原実方 ふじわらのさねかた
- 藤原実方朝臣 ふじわらのさねかたあそん
- 実方の兵衛佐 さねかたのひょうえのすけ
- 実方の中将 さねかたのちゅうじょう
?~998。平安時代中期の歌人。父・定時の早世により、叔父の済時の養子になった。陸奥守となって赴任し、任地で死去した。宮中で粗暴なふるまいをしたため、陸奥へ赴任させられたという伝説がある。風流な人物であり、清少納言との恋愛も伝えられる。
登場作品
『小倉百人一首』
51 かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを
<「こんなにあなたを愛している」とでも言えたらいいけど言えやしない。だからあなたはそれほどとは知らないでしょう? 伊吹山のさしも草が燃えるように、私の思いの熱いこと>
後拾遺和歌集巻第11恋1・612より。「いぶき」は「伊吹山」と「言ふ」の掛詞。伊吹山は滋賀と岐阜の県境にあり、お灸に使われるさしも草(よもぎ)の産地だった。燃えるさしも草を、自身の秘めた思いの熱さに重ねている。
『枕草子』
第33段 小白川といふ所は
小白川の藤原済時邸で行われた仏事で、ほかの参加者がうろうろしているなか、一門の者として、もの慣れて落ち着いた様子を見せる。藤原義懐に言われて、女性との取次ぎを行ったりもする。