増命 ぞうみょう

  • 静観僧正 じょうかんそうじょう

843~927。平安時代前期の僧侶。円仁を師とした。宇多上皇の信頼が厚かった。

登場作品

『宇治拾遺物語』

巻2-2 20話 静観僧正、雨を祈り、法験の事

醍醐天皇の時代にひどい日照りが起こったので、雨乞いのために多くの僧侶が呼ばれた。そこで増命が帝から指名されて雨乞いの祈祷を行ったところ、雨が降り出し、作物が豊かに実った。増命は帝や公卿たちから感嘆された。

関連する人物  醍醐天皇

巻2-3 21話 同じき僧正、大嶽の岩祈り失ふ事

延暦寺の西塔からは比叡山の大比叡を臨めたが、その斜面には竜が口を開けたような形の大岩があった。大岩の筋向いに住む僧には短命なものが多く、いつしか「大岩の祟りで短命なのだ」と言われるようになった。大岩は「毒竜の岩」と呼ばれた。当時、西塔の千手院に住んでいた増命は毒竜の岩のことを憂えて、七日七夜にわたり祈祷を行った。すると、大比叡の峰に黒雲がかかり、雲が消えると、岩も砕けて消えていた。以来、岩の祟りはなくなり、増命は長くあがめられた。

巻8-7 105話 千手院僧正、仙人に逢ふ事

夜通しお経を読んでいると、かつての弟子・陽勝がやってきた。実は陽勝はもともと増命の弟子だったが、ある日失踪したので、気にかけていたのだった。しかし、仙人になった姿で再会できたので、増命は感激した。

関連する人物  陽勝