円仁 えんにん

  • 慈覚大師 じかくだいし

794~864。平安時代前期の僧侶。伝教大師最澄を師とした。唐に渡って修行に励み、帰国してのち、天台宗の発展に尽力した。

登場作品

『宇治拾遺物語』

巻13-10 170話 慈覚大師、纐纈城に入り給ふ事

仏法を学びに唐に渡ったが、時の皇帝・武宗が仏教弾圧を行っていたので、都から離れた所へ逃げた。ある屋敷にたどり着いてかくまってもらうことになったが、敷地の中の一画から、人のうめき声が聞こえるのに気づいた。見てみると、人を縛りあげ、壺を据えて、血をしぼりとっていた。別の場所には、やせ細って青ざめた人たちが大勢横たわっていた。その一人に事情を聞くと、「ここは纐纈城といって、人からしぼりとった血で纐纈染めを作って売っているのです」と言った。その人の助言と仏の助けを得て纐纈城から逃げ出すことに成功し、その後、弾圧もやんだので、当初の予定通り仏法を学んで帰国した。