大弐三位 だいにのさんみ

生没年不詳。平安時代中期の歌人。藤原宣孝紫式部の娘。上東門院に仕え、のちに後冷泉天皇の乳母を務めた。藤原定頼との恋愛が伝えられている。

登場作品

『小倉百人一首』

58 有馬山 猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする

<有馬山から猪名の笹原に風が吹けば、笹の葉がそよそよと…。そう、そうよ、そうよ。あなたは私の心を疑うけれど、私があなたのことを忘れたりするわけないでしょう?>

後拾遺和歌集巻第12恋2・709より。訪れが遠のいた恋人が、「あなたの心が自分に向いているか不安だ」などと言ってきたのに対して返した歌という。「いで」は強い否定や反発を表す言葉。「そよ」は「それよ」という意味と笹の葉音の「そよ」の掛詞。