小野小町 おののこまち

生没年不詳。平安時代前期の歌人。六歌仙・三十六歌仙の一人。詳しい経歴は不明だが、美貌の人だったといわれ、多くの伝説を残している。文屋康秀凡河内躬恒在原業平らと近しくつきあったという。

登場作品

『小倉百人一首』

9 花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに

<桜の花は色あせてしまった。長雨がしとしとと降り続く間に。私もまた色あせてしまった。あの人やあの人やあの人のこと…物思いにふけり、むなしく時を過ごすあいだに>

古今和歌集巻第2春歌・113より。散りゆく桜の花に、自らの要望の衰えを重ねて嘆く思いを詠んだ歌といわれる。「(雨が)降る」と「経る(時を過ごす)」、「長雨」と「眺め(物思いにふける)」といった掛詞が用いられている。「世」は恋愛を主とした男女の関係性を表す。