道命 どうみょう

  • 道命阿闍梨 どうみょうあざり

974~1020。平安時代中期の僧侶。藤原道綱の息子。良源を師とする。法華経を読む声の美しさを称えられたといわれる。優れた歌人でもあった。

登場作品

『宇治拾遺物語』

巻1-1 1話 道命阿闍梨、和泉式部の許にして読経、五条の道祖神、聴聞の事

和泉式部のもとを訪れて夜を過ごしたが、ふと目が覚めて経を読んでいると、五条辺りの道祖神が現れた。聞けば、ふだん身を清めて読経するときは梵天・帝釈といった錚々たる仏神が道命の読む経を聴きに来ていて、自分などはとても近づけないが、今は行水もせずに読んでいるので近づけた。ありがたいことだ、と話した。

関連する人物  和泉式部 源信 藤原道綱

『枕草子』

第287段 右衛門尉なりける者のえせなる男親を持たりて

右衛門尉であった者が、うとましく思っていた父親を、伊予国から都へ上る折に海へ突き落してしまった。この男が、盂蘭盆会※を迎える準備をしているのを道命が見かけて、皮肉若しくは哀れみをこめた歌を詠んだ。この歌について、清少納言は「おもしろい」と評している。
道命のエピソードは清少納言の聞き書きによるものらしい。
※地獄で逆さ吊りの責苦を受ける者を救うといわれる仏教行事。