登場作品
『小倉百人一首』
67 春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ
<短い春の夜の夢みたいな儚い軽い冗談。そんなあなたの手枕を借りたばっかりに二人の間につまんないウワサが立ったりしたら、ほんとにつまんないこと>
千載和歌集巻第16雑歌上・961より。春のある月の明るい夜のこと、世間話をしながら過ごしていた作者がふと「枕が欲しい」と呟くと、藤原忠家が御簾の下から腕を差し出し、「これを枕にしてください」と言ってきた。このときに詠んだ歌という。「かひなく」は「かひな(腕)」と「甲斐無く(むだだ、どうしようもない)」の掛詞。忠家の戯れを軽くいなした歌。
関連する人物 藤原忠家