遍昭 へんじょう

  • 僧正遍照 そうじょうへんじょう

816~890。「遍照」とも。平安時代前期の歌人。六歌仙・三十六歌仙の一人。桓武天皇の孫。素性の父。仁明天皇に仕えていたが、天皇が死去した際に出家した。僧侶としても尊敬を集めた。

登場作品

『小倉百人一首』

12 天つ風 雲のかよひ路 吹きとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ

<天を吹く風よ。雲の上へと続く通り道を吹き閉じておくれよ。美しく舞い踊る天女たちを、もう少しこの地上に引き留めておきたいんだよ>

古今和歌集巻第17雑上・872より。遍照の在俗時代の歌。古今集では俗名の良岑宗貞で出ている。陰暦11月には宮中で豊明節会という宴が催され、天皇が、その年に収穫された穀物を食し、臣下にも賜った。この宴の中で、五節の舞姫と呼ばれる女性たちの舞が披露されたが、その舞姫たちの美しさを天女に見立てて詠んだ歌。