登場作品
『小倉百人一首』
21 いま来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ちいでつるかな
<「すぐにそっちに行くよ」なんて、あなたが言ったばっかりに、九月の秋の夜長をずーーっと待ってしまったじゃない。ほら、もう有明の月が出てくる頃>
古今和歌集巻第14恋歌4・691より。有明の月は陰暦十六夜以降の月のこと。月の出が遅くなり、夜明けになってもまだ沈まずに空に残っている月をいう。来ると言った人を夜の間ずっと待っていたのに、その相手は来ず、待ちぼうけをくらったまま夜が明けてしまったという歌。女性の立場で詠んだものという。