登場作品
『小倉百人一首』
10 これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関
<これこれこれが、東国へ行く人も都へ帰ってくる人も、互いに知る人も知らぬ人も、別れてはまた逢うという、その名のとおりのここが逢坂の関>
後撰和歌集巻第15雑歌1・1090より。逢坂の関は、現在の滋賀県大津市と京都市の境にある逢坂山に設けられた関所。京都から東国へ向かう際の入り口となり、交通のうえで重要な場所だった。「逢坂」の「逢」と「逢ふ」を掛詞として用いることも多く、「男女が逢ふ」の意で詠みこまれた。後撰和歌集の詞書によると、蝉丸は逢坂の関に庵を構えて住んでいたという。