登場作品
『十訓抄』
第1 人に恵を施すべき事 1-45
風流人として有名だった。父為時が越後守に任じられて赴任するのに同行したが、途中で重病にかかった。「都にも恋しき人のあまたあればなほこのたびはいかむとぞ思ふ」という歌を詠んだが、いよいよ危ないとなって、近在から僧侶が呼ばれた。僧が浄土への旅路のことなど話して聞かせると、「その旅路に紅葉やら、松虫・鈴虫の声やらはありますか」と尋ねて僧を閉口させた。先程詠んだ「都にも…」の歌は、末尾の「思ふ」の「ふ」の字を書ききれぬまま息絶えてしまったのだった。
関連する人物 藤原為時
