右近 うこん

生没年不詳。平安時代中期の歌人。藤原季縄の娘といわれる。醍醐天皇の中宮穏子に仕えた。

登場作品

『小倉百人一首』

38 わすらるる 身をば思はず 誓ひてし 人のいのちの 惜しくもあるかな

<「きみのこと、永遠に愛してる。神様に誓って」なんて、いつか言ったあなた。いいの。あなたに忘れられて捨てられるあたしのことなんか。でも、バチ当たりなあなたとは、きっと今生のお別れでしょうね。それを思うと、とってもざんねん>

拾遺和歌集巻第14恋4・870より。心変わりした恋人に詠んだ歌という。「命に代えて愛し続ける」という神への誓いを恋人は破った。やがて神罰が下され、失われるであろう恋人の命を本気で「惜しく」思っているのか、実は「いい気味」と思っているのかで解釈が分かれる歌。