元良親王 もとよししんのう

890~943。平安時代前期の歌人。陽成天皇の皇子。風流で色好みな人物だったといわれる。

登場作品

『小倉百人一首』

20 わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ

<もはやあなたに逢うこともできず、悩み悶えているのだから、もうどうなろうが同じこと。難波にあるみをつくし…そう、この身を尽くして破滅しても、あなたに逢いたい。逢いたいんだ>

後撰和歌集巻第13恋歌5・961より。ある女性との道ならぬ恋が世間に明らかになったあとに、相手の女性に贈った歌という。ある女性とは京極御息所といい、宇多上皇が篤く寵愛している人だった。「みをつくし」は「澪標」と書き、船が水路を進む際の目印として立てた杭。「身を尽くし」と掛けて詠まれた。破滅的な恋情を詠んだ歌。

関連する人物  宇多天皇