阿倍仲麻呂 あべのなかまろ

  • 安倍仲麿 あべのなかまろ

698~770。奈良時代の文人。留学生として吉備真備らとともに唐に渡り、官人となって玄宗皇帝に仕えた。一度帰国を計画したが、遭難して唐に戻ることになった。その後も唐の朝廷で重用され、李白や王維といった高名な文人たちとも交流があったといわれる。帰国を果たせないまま、唐で一生を終えた。

登場作品

『小倉百人一首』

7 天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも

<広々とした大空を見渡せば、美しい月がぽっかりと。あの月はその昔、ふるさとの春日にある三笠山に出た月だ。あのときに見た懐かしい月だ>

古今和歌集巻第9羇旅歌・406より。遣唐留学生として唐に渡ってから数十年を過ごした末、この度日本からやってきた遣唐使とともに帰国する運びとなった、その送別の宴で月が昇ってきたのを眺めて詠んだ歌という。しかし、この帰国は道中の嵐のために果たすことができず、結局仲麻呂は唐に戻って異郷で生涯を終えることになった。