源行遠 みなもとのゆきとお
生没年不詳。平安時代後期の官人。
登場作品
『宇治拾遺物語』
巻11-5 129話 白河法皇北面、受領の下りのまねの事
白河法皇が北面の武士たちに、国司が任国へ下る行列のまねをさせた。めいめいが錦や唐綾の衣で着飾るなか、特にめかしこんで用意をしていた。前もって自分の装いを見られるとつまらないと思い、従者に「様子を見てこい」と命じて自分はタイミングを見計らって行列に合流するつもりで、御所近くの家に身を潜めていた。ところが、従者はいつまでも帰ってこない。しびれを切らした頃に帰ってきて、「いやあ、すばらしい行列でした」などと言う。よくよく訊くと、催しは既に終わっていた。「なぜ自分を呼びに来なかったのだ」と従者をなじると、「『見てこい』と言われたので、見てきました」と返された。
この不参のせいで謹慎を命じられたが、事情を知った上皇に笑って許された。