平貞文 たいらのさだふん
- 平中 へいちゅう
- 兵衛佐 ひょうえのすけ
?~923。「定文」とも。平安時代中期の歌人。『古今和歌集』をはじめとした複数の勅撰和歌集に入集している優れた歌人。また、好色な人物とされ、『平中物語』の主人公といわれる。
登場作品
『宇治拾遺物語』
巻3-18 50話 平貞文・本院侍従等の事
色好みで、貞文が声をかければどんな女性でも振り向かせることができたが、ただ一人、本院侍従だけは、思わせぶりな態度をとるばかりでどうしてもなびいてくれない。あまりにも体よくあしらわれてばかりなので、「いっそ彼女の汚いものを見て嫌いになろう」と考えた。そして、本院侍従の便器を奪って中をのぞくと、香木を煮詰めた水や練香を丸めたものが入っていて、それはそれはよい香りがする。貞文の思惑は彼女に見破られていたのだった。
巻13-1 161話 上緒の主、金を得る事
夕立にあったので、粗末な民家で雨宿りをすることにした。その辺りの石に腰かけて雨がやむのを待っていたが、ふと、その石が金を含んでいるのに気付いた。住人の女性はそのことを知らず、邪魔な石だと思っているということだったので、これ幸いと譲ってもらうことにした。そして、その石を少しずつ売って米や銭、絹などを手に入れて、多くの財産を得た。さらに、沼地になっているような使い道のなさそうな土地を安くで手に入れ、藁を敷き詰めて土地を改良し、屋敷を作った。すべて例の金の石が元手となったのだった。
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