藤原義孝 ふじわらのよしたか
954～974。平安時代中期の歌人。藤原伊尹の息子。藤原行成の父。美貌を伝えられ、また、信心深い人物だったといわれる。将来を期待されたが、当時大流行していた天然痘によって、21歳の若さで死去した。同じ日の朝には、兄・挙賢もやはり天然痘で死去しており、同日の朝と夕に相次いで兄弟が世を去るという悲劇であった。
登場作品
『小倉百人一首』
50 君がため 惜しからざりし 命さえ 長くもがなと 思ひけるかな
＜君と心を通わせるためなら命なんて惜しくないと思ってたんだ。けれど望みがかなった今、僕の気持ちは変わった。できるだけ長く生きていたい。君とずっとずっと幸せでいるために＞
後拾遺和歌集巻第12恋2・669より。思い人と初めて一夜を過ごし、別れて帰ってきてから詠んで贈った後朝の歌という。若くして亡くなった義孝の運命を思うと、切なさを感じる歌。