禅珍 ぜんちん

  • 禅珍内供 ぜんちんないぐ

伝不詳。禅智・善珍とも。

登場作品

『宇治拾遺物語』

巻2-7 25話 鼻長き僧の事

禅珍はあごよりも長い鼻をもっていた。色は赤紫で、みかんの皮のようにぶつぶつしてかゆくてたまらない。お湯でゆでて足で踏んでもらい、ぶつぶつから出てくる白い虫を抜き取ると他の人と変わらない鼻になるが、2、3日経つと元に戻ってしまう。こんなありさまだから、食事時には鼻の下に板を差し入れさせて、ものを食べるようにしていた。ある日、普段この板を差し入れる係をしている弟子が体調を崩し、召使の子どもが代役を務めることになった。やってみると、いつもの弟子より具合が良い。禅珍は満足して粥をすすっていた。ところが、子どもがくしゃみをしたはずみで板が外れ、鼻が粥の中にぼちゃんと墜落してしまった…! 禅珍は怒り狂ったが、子どもは悪びれることなく逃げていった。