伊良縁の世恒 いらえのよつね

伝不詳。

登場作品

『宇治拾遺物語』

巻15-7 192話 伊良縁野世恒、毘沙門の御下文を給はる事

毘沙門天を篤く信仰していた。食べ物がないので「助けてください」とお祈りすると、美しい女性が家にやってきて、器に盛った食べ物を与えてくれた。これをちょっと食べただけで満腹になったので、おなかの減ったときに、少しずつ食べて空腹を満たした。しかし、数か月経つと、この不思議な食べ物もなくなってしまったので、再び毘沙門天に助けを求めた。すると、以前の女性が現れて書状を渡し、「峰百町を越えた所に行きなさい」と言った。言われた場所へ行くと、額に角が生えて一つ目で赤い褌を締めた者が出てきて、米一斗の入った袋を与えた。この袋の米は、どんなに使っても、なくなることがなかった。おかげで世恒は大金持ちになったのだった。