行尊 ぎょうそん

  • 前大僧正行尊 さきのだいそうじょうぎょうそん

1057~1135。平安時代後期の僧侶。各地で修行を重ね、優れた山伏として名高かった。和歌や絵にも才能を発揮した。

登場作品

『小倉百人一首』

66 もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし

<山桜よ、ともにしみじみと懐かしみあおうじゃないか。この山奥では、桜よ、おもえさんのほかに友もいないんだ>

金葉和歌集巻第9雑部上・556より。修験道の修行のために奈良の大峰山にこもっていたときの歌という。思いがけず桜が咲いているのを見かけて束の間孤独を忘れ、和んだ心を、桜に親しく呼びかける形で詠んでいる。

『十訓抄』

第1 人に恵を施すべき事 1-35

鳥羽天皇の護持僧を務めて内裏に控えていた。ある日、管弦の遊びが行われたときに、源有仁が弾いていた玄象の琵琶の緒が切れてしまった。すると行尊がふところから琵琶の緒を取り出してさしあげたので、有仁は無事に琵琶を弾き続けることができた。このように行尊は万事に気遣いのできる人物だった。

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