花山院宣経 かざんいんのぶつね
1203~?。鎌倉時代の公卿。父は五辻家経。伯父である花山院忠経の養子となった。
登場作品
『十訓抄』
第1 人に恵を施すべき事 一ノ十四
宣経が蔵人頭として後堀河天皇に仕えていたあるとき、藤原実忠やほかの若い殿上人たちと清涼殿の鬼の間で、話に花を咲かせていた。隣接する台盤所には女房たちが控えていて、彼女たちとも会話を交わしていたが、ある内侍が「この楓の木に秋が来たしるしのように、初紅葉の枝が一枝あったけれど、散ってしまいました」と言ってきた。宣経が「どのへんの枝だろうか」と梢を見上げると、ある殿上人が「それは西の枝だろう」と応じた。
これらのやりとりは『古今和歌集』の藤原勝臣の歌を踏まえた、たいそう気の利いたものだった。→補足