藤原敏行 ふじわらのとしゆき
- 敏行朝臣 としゆきのあっそん
- 藤原敏行朝臣 ふじわらのとしゆきあそん
?~901。平安時代前期の歌人。三十六歌仙の一人。書にも優れた才能を発揮した。
登場作品
『宇治拾遺物語』
巻8-4 102話 敏行朝臣の事
字が上手なので、多くの人に頼まれ、法華経を200部ほど書写していた。ところが、魚を食べ、女性とも関わりを持ち、不浄な身で書写を行っていた罰を受けて急死し、地獄に連れて行かれそうになった。『四巻経』というお経を書写することを申し出てどうにか許してもらい、生き返ることができたが、生来の好色がたたって書写を終えずに寿命を迎えてしまった。そのために地獄の責め苦を受けることになって、友人・紀友則の夢に現れ、助けを求めた。友則が気の毒がって、敏行の代わりに四巻経を書写し、供養してくれたので、多少は苦しみを軽くすることができた。
関連する人物 紀友則
『小倉百人一首』
18 住の江の 岸に寄る波 よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ
<住之江の岸に波が寄る。寄る…じゃなくて、夜に見る夢の中でさえも、君は人目を避けて会ってはくれないんだね>
古今和歌集巻12恋歌2・559より。「よる」は「(波が)寄る」と「夜」の掛詞。「よく」は「避く」と書き、ここでは他人の目を避けて、ということ。「夢の中であなたに会うための道でさえも、他人の目を避けて会ってくれない」というもどかしい思いを詠んだ歌である。