藤原明衡 ふじわらのあきひら

  • 大学頭明衡 だいがくのかみあきひら

989~1066。平安時代中期の漢詩人。一流の学才をもちながら官位に恵まれなかったが、『本朝文粋』『新猿楽記』など、数々の書物を著した。

登場作品

『宇治拾遺物語』

巻2-11 29話 明衡、殃に遭はむと欲る事

恋人と会うために、諸事情あって、ある身分の低い者の家を借りることにした。家主夫婦の夫のほうは留守にしていたが、妻が了承して自分の寝所を開けてくれた。ところが夫は、妻のもとに間男が通ってきていると勘違いして、そいつを殺してやろうと考えた。そして夜更けに寝所に忍び込んだところ、明衡の指貫(袴)の裾をくくる紐が、長々とのびているのが見えた。夫は「うちの妻のところに、こんな指貫を着るような身分のあるお方が通ってくるはずがない」と思いとどまった。指貫の紐のおかげで、明衡は命拾いしたのだった。

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