曾禰好忠 そねのよしただ

生没年不詳。平安時代中期の歌人。長く丹後掾として低い官位にいたため、高位の貴族たちから曾丹後・曾丹などと呼ばれて軽んじられたという。恵まれない境遇を独特な和歌に詠み、のちの時代に影響を与えた。

登場作品

『小倉百人一首』

46 由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え 行方も知らぬ 恋のみちかな

<由良の海峡を渡っていく船頭が梶を失い、どこへ行くかもわからず漂うように、僕の恋もこれからどうなるんだろう。行く先がわからない>

新古今和歌集巻11恋歌1・1071より。由良の門は、和歌山県の地名とも、京都府にある由良川の河口付近ともいわれる。また、「かぢを」は「梶を失って」の「梶を」とも、梶をつなぐ縄の「梶緒」とも。不安な恋心を、制御の効かなくなった舟にたとえた歌。